建築、その死を乗り越えて
建築家
Ko Iwakawa
GAKU SAKURA
建築死
ー建築立面図ー
2011年3月11日。
この日、私の建築が死んだ。
建築家を目指していた私に突然訪れた建築の死。
東日本大震災。
電信柱は大きくしなり、電線は鞭のような音を発した。
人々はあまりの恐怖に家から飛び出してくる。
電車は止まり、駅にできる長蛇の列。
夜の建物は不気味に黒く佇んでいる。
今ここで建築家に求められるものとは……
2016年4月14日、4月16日。
あれからから5年。
2度にわたる震度7の地震。
死を覚悟した熊本地震。
ここは今までとは全く異なる世界が広がっている。
平衡感覚が失われるほど建物は歪み、崩れ瓦礫と化している。
人々は建物から逃げ出し、車での生活を余儀なくされている。
抜け殻と化した大きな構造体が再び不気味な雰囲気を纏っている。
建築の亡霊が現れた。
人々を恐怖に陥れる建築の亡霊。
浮遊する建築の亡霊に新たな構造を。
だから私は問い続ける。
「ここに建築は可能か。」と。
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