今日は自分の絵画の見方、楽しみ方を紹介します。私は芸術評論家ではありません。現代建築作家としてどのような視点で絵画作品を見ているのか少し知って頂けたらなと思っています。
私は建築出身です。平面的な作品はどうしても図面の様に捉えてしまいます。というかそういう癖がついてしまっています。そして絵画の歴史との関係性の中に今を見いだそうとします。これが建築学的絵画の見方です。
どういった見方になるのか具体的に書きます。
まず、素材について。色んな素材が世の中にはあります。その中でまず何も考えずに絵を描くためにキャンバスと絵具と筆を手に取ってしまうとそれってどうなの?っていう疑問から入ります。そう建築学ではその素材の特性をしっかり把握したうえで適切なものを選択しなくてはなりません。これだけの変化が起こる世の中でなんの疑問も持たずに未だにキャンバスっていうのはやはり不思議な感覚になってしまうんです。そして今までの膨大な歴史の中で今絵を描く理由もしくは方法、これを示すことが結構重要だと思ってます。
でそんな感じに捉え始めて見えてくる面白い絵画がこちら。
ラウシェンバーグの作品。
「消されたデ・クーニング」という作品。デ・クーニングが描いたドローイングをラウシェンバーグが消す事で作品になっています。この作品でラウシェンバーグは絵画らしい道具を使う事を拒否しました。
絵を描くという行為を見つめ直すことのできる作品です。
こうなると絵画も面白いなって思えてくるのが私の見方です。後、比較的最近の作家ではWade Guytonなんかも面白いなって思って見ています。
こういった作品です。これ手で描かれたものではありません。エプソンのプリンターを使って描かれたものです。自らの手で描くという行為を拒否した作品です。面白い。
あとポロックや村上隆さん草間彌生さんを好きな理由も多分皆さんとは違います。私にとって絵画(図面)の中から立体になった時に成立させる事のできる素材を絵画(図面)の中でいくつ生み出せるのか?という事でその絵画が面白いかどうか判断していたりします。
絵画はキャンバスの厚みからしても絵具の厚みからしても立体なわけですが、そこからより立体的に持ち運ぶ事ができるかどうかがが私の中で重要であったりします。それが建築学的絵画の見方です。
写真のように全て平面から立体に持ち運びだされています。この場合すべて商品になっているのですが、そういった事のできる絵画って強いなと思います。その逆の位置にアンディーウォーホルのキャンベルのスープ缶があったりという歴史の関係性が見えてきたり・・・という楽しみ方です。
あと最期に一つ。
建築学的絵画の見方で重要になるのが配置(設置)の仕方です。で一つ面白い参考例です。
クリス・オフィリの
「No Woman No Cry 」という作品です。ボブ・マーリーです。絵は土台から壁に立てかけられています。普通に額装して壁に掛けるようなことをしません。
実はこの土台、象さんのウンチです。あとネックレスのペンダントもウンチでできてます。
絵画に今まで見た事のないような影ができてたりすると建築的でうれしかったりします。そういうことを楽しんで見る建築学的絵画の鑑賞法。一度試されてみてはいかがでしょうか。
建築学的絵画の楽しみ方、すこし分かって頂けたでしょうか。また建築学的に面白い絵画を紹介していけたらと思います。
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