「建築紹介12」あたりから建築という広がりを見ようと務めていたように思う。犬小屋という建築を作る建築家がいたり、ファッションブランドとのコラボレーションを行なう建築家がいたり。また、芸術を内包することによって建築が今までとは異なる意味合いを持つようになるようなそんな体験をした。そこから今の建築を知ろうとした。
「建築紹介13」では建築がアニメや映画のような体験を欲しているような、そんなプレゼンテーションとしてomaの最新のプロジェクトを紹介した。それからノーマンフォスターのこの世とは別の場所へと誘うようなプロジェクト(イメージ)の数々を紹介した。建築のイメージがどうしても先行していってしまう現代の中での建築家の格闘、葛藤を体験できたのではないだろうか。もしかするとこれは建築家の娯楽なのかもしれないが……。
「建築紹介14」は漫画、アニメ、大衆文化としてポップアートをまずとりあげた。そこからスローモーションやアニメーションの効果を扱うダンスを紹介。自分たちが何気なく見ているモノに潜む、アニメや漫画の歴史を紹介した。芸術だけではなくストリートダンスも同時に紹介することで、建築という場で何かを語る時、その他の分野がフラット化(ヒエラルキーのない)していくような感覚を得たと思う。そして建築という場では何かを拒絶することは不可能で、すべてを肯定していかなくてはいけないような現実的な問題を目の当たりにした。それは「建築紹介15」でも同じだったように思う。全ては建築の上で起こるものでそのものに建築との隔たりはほとんどないように見える現状。そんな建築の広がりを感じてもらえたのではないだろうか。
「建築紹介16」ではこれまで紹介してきた建築の状況をより広い視点で見つめる。そこに隠れる(普段意識することのない)建築が見えてくればいいと思っている。
まずファッションショーをいくつ見てもらいたい。
Saint Laurent。
Louis Vuitton。
Balenciaga。
Vetements。
Victoria’s Secret 2016 Fashion Show。
Victoria Secret Fashion Show 2014。
自分たちが知っている、想像することのできるファッションショーとは多少違うものが入り交じる。アーティストが歌っていたり、その場を強調する建造物の中やそれを背景にファッションショーを行なったり、モデルというイメージからは遠い存在の人を起用していたりもする。またあえて日常を取り込むということだってする。
そしてここからはダンスをいくつか紹介する。
BoA 。
三浦大知。
AI 。
三代目 J Soul Brothers。
ここでは後ろのダンサーについて。
後ろで踊っているのは、上2つがs**tkingz。
そして下2つがKing of swag。のメンバーである。
彼らのダンスが空間を構成する。動く柱のようにその画面をバランスよく支え、その中で歌い手の存在を初めて成立させる。
それは建築と建物の関係に似ている。
それは建物と人間の関係に似ている。
ここに建築を見る。
ただ今回はここで終わりにはしたくない。
この画面の向こうに流れる映像。そこに建築を見るということ。
ここにも”ここ”と”向こう”の関係があり、何かがその映像に安定感を与えていたり、一種の違和感を与えている。
それがダンサーであったり、モデルであったり、建造物であると言えるのだが、それらの場所、モノ、ヒトをフラットな場所に召還するものこそ建築である。建築という場で語り始めると、芸術もダンスもファッションも全てが同じフロアに存在するようになる。それは前に押し出されるものであるか、後ろに佇むものであるか、というような前と後ろの関係の問題で、実はそれらも徐々にフラットな状況になりつつある。それは正にスーパーフラットの上をゆくフラットである。歌い手もダンサーもモデルも観客も建造物もファッションも音楽も芸術も、すべてが”ここ”と"向こう"では建築になる。
そう、すべては建築である。
世界一のカラオケ屋さんかもしれない。
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