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執筆者の写真Gaku Sakura

新しい作品。

更新日:2018年9月30日

新しい作品を作っています。見え方としては広告のように見えるでしょうか。日常にある風景に物語を建築していきます。


PHARMAKOnの蛇口からカプセル錠剤が精製されるまでを書いたストーリーです。

この錠剤の効果とはなんでしょうか。

舞台の小道具。

私は建築家であり魔術師なのでしょうか。多分違います。


建築をデザインとして見なくなったのはいつぐらいのことだろう?とふと思いました。かなり早い時期からデザインとしての建築を諦めた、というより無理だということを理解した気がします。

建築をデザインとして見れば早々に飽きる。模型を作る前から完成が想像できてしまう。思考することはほとんどない。先人の方法を学び編集すればよい。

まとめ上げる造形のセンスは必要になるが割と簡単である。そして自ずと誰かのモノに似てくる。安藤さんか隈さんか妹島さんか、、、磯崎さんという選択肢もあるか。

とりあえず自分の作品ではなくなる。建築の歴史の一部になる。が歴史にはなり得ない。それはとても在り来たりな建築。そしてその建築の最後も在り来たりな結末を迎える。先生たちの評価は得られるが価値は高められない。デザインは見ればできる。言葉や知識や経験がなくても。単純な建築に心は踊らない。これはデザインの話。ただデザインが必要でないという話ではない。デザインは最低限おさえておかなければならない。デザインは入口。ここで終わってはダメ。

学生の時、中尾寛先生に先生の思い通りにはなるな、と言われた経験がある。先生にペコペコしながら設計するくらいなら図書館に籠もれ!とも言われた。お前は建築の先生たちをバカにしてる。バカにするぐらいでお前は丁度いいのだけど、とも言われた。どういうことだったのか今でも考える。今まで出会った建築家の中でもかなり個性的だった。ただいつも最後は褒められる。よくやったと一言だけ。

いつの間にか器用に造形を編集して提出するようになっていた。けちょんけちょんに怒られた。そこから自分の暴走が始まった。いや意図的にカンフル剤として暴走をパフォーマンスしてみせた、とでも言えばよいだろうか。


東日本大震災の後、建築を誰かから教わるという意識を捨てた。教わる相手を間違えてしまったのかもしれない。先生であっても建築の正解は教えてはくれない。

アパレルで働き、料理人として働き、建築を作り始めた。無謀だと鼻で笑われた。アパレルの店長からは美大出身なのに商品の見せ方はイマイチだね。建築出身だったよね?とけなされ、

料理長からはアーティストとあだ名で呼ばれる日々。完全にバカにされていた。名前で呼んでもらえるようになるまで1年はかかった。その期間は苦痛の日々だった。アパレルで自分の働きを見てくれている人がいた。それはあるお客様だった。ここの商品には興味がないの、でもあなたはちょっと面白そうね、と。

シルバーリングを取り出し、空間の話をした。ガラスの什器に入れられるリングは実はあんまり相性がよくないとおもってるんですよ。まず値札があるじゃないですか、それでポリッシュに磨かれているリングは反射してしまう。隣同士にリングを並べるからさらに輪郭がボヤけると。そこは見る場所としては適さないので全部出しましょうか?と。大爆笑。

やっぱりリングは水場か居酒屋か、森の中でしっくりくるものが一番だと思います。想像して見てくださいと。お風呂場に合う指輪。酒場に合う指輪。緑に合う指輪。絶対失敗しません。と。笑

料理長からアーティストと呼ばれる苦痛はすごかった。大学生は笑っていた。洗い場のお兄ちゃん。焼き場に上がるのと同時にそう呼ばれることはなくなった。その時理想の建築家に一歩近づいたのだと意味もわからず思った。


多分明日はハラミを切る。ロースも切るかもしれない。あとはタンか。ネギとパプリカも切る。そして盛る。料理を提供する。一つの図面がある。その都度臨機応変に対応する。場の問題もあるが素材の問題もある。環境の問題もある。

これは建築の話。舞台の話。図面の話。

自分の舞台は自分で建築する。



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